喜多川歌麿「深川の雪」
―特別展示― 再発見 歌麿「深川の雪」
2014年4月4日(金)〜6月30日(月)
喜多川歌麿「深川の雪」は、フリーア美術館蔵「品川の月」、ワズワース・アセーニアム美術館蔵「吉原の花」と共に、「雪月花三部作」として知られる歌麿肉筆画の最高傑作。縦199㎝×横341㎝。掛軸画では考えられない巨大画面に、27名の人物たちが生き生き描かれ、晩年の集大成的作品。
「雪月花三部作」の最も古い記録は、明治12年(1879)11月23日、栃木の定願寺における展観に、当地の豪商・善野家が出品したもの。「雪」と「花」は明治20年以前に美術商S.ビングが、「月」は明治24〜5年頃に林忠正が購入、パリへと渡る。戦前、同地滞在中の浮世絵収集家・長瀬武郎が、パリ在住の日本人美術商から「雪」を買い求め、昭和14年(1939)に日本へ持ち帰った。「月」と「花」はアメリカの美術館へ収蔵されたが、「雪」は昭和23年(1948)4月15日から銀座松坂屋で開催された「第二回浮世絵名作展覧会」にわずか3日間展示されている。以後、半世紀以上、所在不明となっていた。再発見されたのは、2012年2月。発見当初、表装部分に傷みが見られたため、長期の修復期間を経て、今春ようやく公開となる。
ある歌麿研究第一人者は、以下のように述べている。
「歌麿がここまで大きな絵を描けたということに驚きました。個々のディテールが細密であるだけではなく、ゆるみない充実を感じますし、構想やバランスに加え、色彩配置も見事。浮世絵界最前線に立ち続けた歌麿の、50才を過ぎた時点の一番いい、その時描ける最高の力をもって手がけた作品、歌麿の肉筆画、歌麿画業の1つの頂点を示す作品であると思います」。
今回の発見に至るまでは、「深川の雪」の姿を今に伝えるのは古いモノクロ写真のみだった。このように色鮮やかに甦り、広く一般に公開されることで、低く見られがちであった歌麿晩年期の再評価をはじめ、歌麿研究に大いに貢献することが期待される。岡田美術館所蔵の、歌麿の肉筆画「芸妓図」「三美人図」、葛飾北斎や上村松園など、近世から現代に至るまでの美人画の変遷の一端も合わせて展示される。
岡田美術館:
2013年10月、箱根の小涌谷に開館。屋内展示面積は箱根随一。岡田和生 ユニバーサルエンターテインメント取締役会長の蒐集美術品を常時約 350 点展示。「日本で受け継がれてきた美術品を大切に守り、美と出会う楽しさを分かち合い、次代に伝え遺したい」との願いから、美術館は構想されました。館正面を飾るのは、現代日本画家・福井江太郎氏の風神雷神大壁画「風・刻」。
http://www.okada-museum.com
必見!NHK再放送 4月20日 20:00-21:00
日曜美術館「世紀の大発見! 歌麿 幻の大作」